NISA・iDeCoと資産形成

NISAは「制度」ではなく「耐久テスト」である

― 続けられた人だけが、非課税の恩恵を受け取れる ―

新NISAが始まり、
「制度としてはかなり有利」
「これを使わないのはもったいない」
という声をよく耳にするようになりました。

確かに、新NISAは

  • 非課税
  • 長期運用向き
  • 枠も大きい

という、非常に優れた制度です。

しかし実務の現場で多くの人を見ていると、
新NISAの成否を分けているのは、
制度理解でも、商品選びでもありません。

結論から言うと、
NISAは「制度」ではなく、「耐久テスト」です。

どれだけ下がっても続けられるか。
どれだけ不安になっても、判断を誤らずにいられるか。
その“耐久力”を試される仕組みこそが、NISAの本質です。


なぜNISAは「耐久テスト」になりやすいのか

NISAが他の投資制度と大きく違うのは、
失敗の修正がききにくい点にあります。

  • 損益通算ができない
  • 一度売ると非課税枠は戻らない
  • 税制面のクッションがない

つまりNISAでは、
感情的な一度の判断ミスが、そのまま結果に直結します。

この構造が、
NISAを「知識テスト」ではなく
「行動テスト」「耐久テスト」にしています。


平均リターンは、耐久テストの内容を教えてくれない

多くの人は、
投資を始めるときにこう考えます。

  • 年率5%なら
  • 30年で
  • これくらい増える

これは平均値の世界の話です。

しかし現実の市場では、

  • 毎年きれいに5%ずつ増える
  • 安定して右肩上がり

そんなことはほぼ起こりません。

むしろ、

  • 突然20〜30%下がる
  • 数年まったく増えない
  • 含み損の期間が長く続く

こうした時間の方が、圧倒的に多いのです。

NISAの耐久テストとは、
この「増えない時間」「下がる時間」に耐えられるかを問うテストです。


本当に試されるのは「下落そのもの」ではない

重要なのは、
下落そのものが問題なのではありません。

本当に試されるのは、

  • 想定していた下落か
  • 想定外の下落か

という点です。

事前に、

  • 30%下がる可能性がある
  • それでも続ける

と理解していれば、
下落は「想定内の出来事」になります。

しかし、

  • 非課税だから安心
  • 長期なら大丈夫

という曖昧な理解のまま始めると、
同じ下落でも心理的ダメージは何倍にも膨らみます。


耐久テスト① 下がっている「時間」に耐えられるか

多くの人が想像するリスクは、
「一気にドンと下がる」場面です。

しかし実際に耐久力を削るのは、

  • 何年も含み損が続く
  • 周囲は儲かっているように見える
  • 自分だけ取り残された感覚

こうした静かな時間です。

NISAは長期制度だからこそ、
この「報われない時間」が必ず存在します。

この期間に、

  • 積立をやめない
  • 売らない
  • 余計なことをしない

これができるかどうかが、
耐久テストの合否を分けます。


耐久テスト② 情報過多に耐えられるか

投資を続けていると、
必ず次のような情報に触れます。

  • 「今は危ない」
  • 「この商品はもう古い」
  • 「もっといい投資法がある」

これらは、
すべて耐久テストの妨害要素です。

NISAで成果を出している人ほど、
実は「情報を遮断する力」が高い傾向があります。

  • 仕組みを理解したら
  • あとは淡々と続ける

この姿勢がなければ、
長期非課税のメリットは活かせません。


耐久テスト③ 他人と比べないでいられるか

NISAの失敗原因として、
非常に多いのが比較です。

  • あの人はもっと増えている
  • 自分は選択を間違えたのでは
  • 乗り換えた方がいいのでは

こうした思考が始まった瞬間、
耐久テストは一気に難易度が上がります。

NISAは、
他人と競争する制度ではありません。

自分の目的と時間軸に耐えられるか。
それだけが問われています。


耐久テストに合格しやすい設計とは

では、どうすれば
この耐久テストに合格しやすくなるのでしょうか。

ポイントは3つです。

  1. 下落幅をあらかじめ想定しておく
  2. 生活に影響しない金額で運用する
  3. 売らなくて済む出口設計を考える

これらができていれば、
NISAは「苦しい制度」ではなく、
放っておける制度に変わります。


NISAで失敗する人ほど「制度」を信じている

少し皮肉ですが、
NISAで失敗しやすい人ほど、

  • 制度が良い
  • 国が用意している
  • 非課税だから

という制度そのものを信じすぎています。

一方で、
成果を出している人ほど信じているのは、

  • 自分の行動パターン
  • 不安になるタイミング
  • 耐えられる範囲

といった、自分自身です。


NISAは「続けられた人」だけの制度

NISAは、
始めた人全員が報われる制度ではありません。

  • 続けられた人
  • 売らなかった人
  • 耐えきった人

この条件を満たした人にだけ、
非課税という結果がついてきます。

NISAは制度ではなく、
あなたの行動を映し出す耐久テストです。


耐久テストに合格するために必要なこと

NISAを使いこなすために必要なのは、

  • 特別な知識
  • 高度な商品選び
  • 予測能力

ではありません。

必要なのは、

「何もしない時間」に耐える力

これだけです。

NISAを、
制度としてではなく
耐久テストとして設計できたとき
はじめて非課税の恩恵は意味を持ちます。

NISAの本質は、単に制度を使いこなすことではなく、長期にわたって投資を続ける力を身につけることにあります。制度の特徴を理解したうえで、自分自身の行動や意思決定をどう設計するかが、資産形成の成果に直結します。

下記ページでは、こうした長期的な資産形成の考え方や、将来の資産推移を客観的に捉えるためのシミュレーション解説も整理しています。より精度の高い計画を立てたい方は、あわせてご覧ください。