― 「毎月もらえる安心感」の裏にある現実 ―
新NISAが始まり、「非課税で配当がもらえるなら高配当ETFが最強では?」と考える人が増えています。
たしかに、高配当ETFはインカム(配当収入)が見えるため、投資初心者にも分かりやすく、心理的な安心感があります。
しかし、新NISAという制度の性質を踏まえると、
高配当ETFが“向いている人”と“向いていない人”ははっきり分かれます。
本記事では、
- 新NISAと高配当ETFの相性
- メリットと見落とされがちなデメリット
- どんな人に向いているのか
をFP視点で整理していきます。
そもそも高配当ETFとは何か
高配当ETFとは、
配当利回りの高い銘柄を中心に構成された上場投資信託(ETF)です。
一般的には、
- 配当利回り3〜5%前後
- 定期的に分配金が出る
- 株価成長より「収入重視」
- 信託報酬が一般的な投資信託よりも低い
- 証券取引所での売買になる
という特徴があります。
代表的な高配当ETFには、
米国株の高配当ETFや、
国内株式の高配当ETFなどがあります。

新NISAと高配当ETFの相性が良さそうに見える理由
新NISAで高配当ETFが注目される理由は、主に次の3つです。
① 配当金が非課税になる
通常、配当金には約20%の税金がかかります。
新NISAではこれが非課税になるため、
- 配当がそのまま手元に残る
- 利回りの体感が高くなる
というメリットがあります。
② 定期的な収入が見える
価格変動よりも、
「いくら入ってくるか」が分かりやすいため、
- 投資を続けやすい
- 精神的に安定しやすい
という側面があります。
③ 老後の取り崩しイメージと重なる
「将来は配当を生活費に充てたい」
と考える人にとって、高配当ETFは非常に分かりやすい選択肢です。
それでも注意すべき3つの落とし穴
一方で、新NISAで高配当ETFを使う場合、
見落とされがちな注意点もあります。
落とし穴①:配当=利益とは限らない
配当金は、
必ずしも運用による利益だけで支払われているわけではありません。
企業の利益が減れば、
- 配当が減る
- 配当が停止される
ということも普通に起こります。
また、ETFの場合でも、
中身の銘柄入れ替えや市況によって、
分配金水準は変動します。
「毎回同じ金額がもらえる」という前提で考えるのは危険です。
落とし穴②:資産成長は抑えられやすい
高配当ETFは、
配当を出す分、内部で再投資されるお金が少なくなります。
その結果、
- 株価の成長は緩やか
- 長期的な資産総額は伸びにくい
という傾向があります。
新NISAは長期・非課税という強みがある制度です。
その強みを最大限活かすなら、
配当を出さずに内部で成長する商品の方が有利になるケースも多いのです。
落とし穴③:再投資しないと複利効果が弱くなる
高配当ETFを新NISAで使う場合、
配当金をどう扱うかが非常に重要です。
- 受け取って使う
- そのまま放置する
この状態では、
複利効果はほとんど働きません。
再投資を前提にするなら、
最初から配当を出さない商品を選んだ方が、
シンプルで効率的な場合もあります。
新NISAで高配当ETFが「向いている人」
では、それでも新NISAで高配当ETFが向いているのは、どんな人でしょうか。
✔ 向いている人の特徴
- すでにある程度の資産がある
- 価格変動よりも安定収入を重視したい
- 老後の生活費イメージが明確
- 配当の増減を冷静に受け止められる
このような人にとって、高配当ETFは
新NISAを「収入装置」として使う手段になり得ます。
新NISAで高配当ETFが「向いていない人」
一方で、次のような人は注意が必要です。
✖ 向いていない人の特徴
- 投資を始めたばかり
- 資産形成の初期段階
- 下落や減配に不安を感じやすい
- 配当を生活費に使ってしまう
この段階で高配当ETFを選ぶと、
資産が増えないまま時間だけが過ぎる可能性があります。
新NISAに高配当ETFは「目的次第」
新NISAに高配当ETFが向いているかどうかは、
利回りの高さでは判断できません。
重要なのは、
- 何のために投資するのか
- いつ使うお金なのか
- 成長と収入、どちらを重視するのか
という目的です。
資産形成の初期段階では、
成長重視の商品が有利なケースが多く、
資産が育ってきた段階で高配当ETFを組み合わせる方が、
制度のメリットを活かしやすくなります。
安心感だけで選ばない
高配当ETFは、
「配当がもらえる=安心」という分かりやすさがあります。
しかし新NISAは、
安心感ではなく、設計で成果が決まる制度です。
- 配当をどう使うのか
- 再投資するのか
- 下落時も持ち続けられるのか
ここまで考えたうえで選ぶなら、
高配当ETFは新NISAの有力な選択肢になります。
逆に、
「なんとなく安心そうだから」という理由だけで選ぶと、
新NISAの強みを活かせないまま終わる可能性もあります。
新NISAにおいて大切なのは、
商品よりも、自分の目的に合った使い方です。
高配当ETFは魅力的に見える一方で、配当重視の戦略だけではリスクやトータルリターンの本質を捉えきれない場面もあります。制度や商品性の理解に加えて、長期的な資産形成全体の設計をしっかりと考えることが、より現実的で堅実な投資計画につながります。
下記ページでは、こうした長期資産形成の考え方や、将来の資産推移を幅広く捉えるためのシミュレーション解説も整理しています。より深く計画を理解したい方は、あわせてご覧ください。
