― iDeCo・長期投資で“安心”を選ぶ前に考えるべきこと ―
iDeCoや企業型DCの運用商品を選ぶ際、
多くの人が一度は迷うのが元本確保型商品です。
「元本割れしないなら安心」
「老後資金だから安全第一で」
こうした理由で、
定期預金や保険型商品を選ぶ人は少なくありません。
しかし結論から言うと、
元本確保型を入れる意味がある人は、実はかなり限られています。
本記事では、
- 元本確保型の仕組み
- 入れる意味がある人
- 逆に入れない方がいい人
をFP視点で整理します。
そもそも元本確保型とは何か
元本確保型とは、
満期まで保有すれば元本が保証される商品です。
代表例は以下です。
- 定期預金
- 保険型年金商品
特徴は明確です。
- 価格変動がほぼない
- 評価額が減らない
- 利回りは極めて低い
iDeCoでは「安全枠」として用意されていますが、
長期資産形成との相性は必ずしも良くありません。

https://www.jis-t.kojingata-portal.com/invest/m_shouhin.html
元本確保型を入れる「意味がある人」
① 投資経験がほとんどなく、まず制度に慣れたい人
投資が初めてで、
- 価格変動に強い不安がある
- 評価額が減ると眠れなくなる
- いきなりリスク資産に100%は恐い
このような人にとって、
最初のクッションとしての元本確保型は意味があります。
重要なのは、
「一生そのままにしないこと」。
あくまで
制度に慣れるための一時的な選択として使うなら、
合理性はあります。
② 受給開始が目前で、リスクを落としたい人
60歳が近く、
- 数年以内に受給予定
- 大きな価格変動を避けたい
- すでに十分な資産額がある
このような場合、
資産を守るフェーズに入っているため、
元本確保型を組み合わせる意味はあります。
これは「運用」ではなく、
リスク調整の判断になります。
③ 心理的にリスク資産を持ち続けられない人
理屈では分かっていても、
- 下落局面で必ず売ってしまう
- 感情に振り回される
- 続ける自信がない
こうした人が、
無理にリスク資産100%にすると、
最悪のタイミングでやめる可能性が高くなります。
それなら、
一部を元本確保型にしてでも
長く続けられる設計にする方が良い、
という考え方もあります。
元本確保型を入れる「意味がない人」
① 運用期間を20年以上確保できる若年層
20代〜40代で、
- 運用期間が長い
- 老後まで時間がある
この条件で元本確保型を入れるのは、
機会損失が非常に大きい選択です。
長期投資において最大の武器は、
時間と複利。
それを自ら捨ててしまうことになります。
② 「元本割れが怖い」という理由だけで選んでいる人
元本確保型を選ぶ理由が、
- なんとなく安全そう
- 減るのが嫌
- よく分からないから
この場合、
問題は商品ではなく理解不足です。
元本が減らなくても、
- インフレ(物価上昇)で実質価値は減る
- 手数料で目減りする
- 老後資金として足りなくなる
というリスクは確実に存在します。
③ iDeCoを「貯金代わり」に使おうとしている人
iDeCoは、
流動性を犠牲にして税制優遇を得る制度です。
それを、
- 利回りほぼゼロ
- 引き出せない
- 実質的に増えない
元本確保型で使うのは、
制度のメリットをほとんど活かせていません。
貯金目的なら引出しが可能な
普通預金や定期預金の方が合理的です。
元本確保型の「最大の落とし穴」
元本確保型の本当のリスクは、
見えにくいことです。
- 数字が減らない
- 評価額が安定している
- 安心感がある
しかしその裏で、
- 老後資金の到達点が下がる
- 将来の選択肢が狭まる
という影響が静かに積み上がります。
これは
「損している実感がないまま、損をする」
典型的なパターンです。
重要なのは「安全」ではなく「役割」
元本確保型を選択することが悪いことではありません。
問題は、
目的と役割を理解せずに使うことです。
- 初期の心理的ハードルを下げる
- 受給直前のリスク調整
- 継続のための妥協点
このような明確な理由があるなら、
元本確保型は意味を持ちます。
元本確保型は「使いどころ」がすべて
- 若い人・長期投資では基本的に不要
- 安心感だけで選ぶと老後資金が足りなくなる
- 意味があるのは一部の限定ケース
- 続けられる設計が最優先
元本確保型は、
安心を買う商品ではありません。
あくまで、
資産設計の中で役割を持たせたときだけ意味を持つ商品です。
もし今、
「なんとなく入れている」なら、
一度立ち止まって見直す価値は十分にあります。
元本保証のメリット・デメリットを正しく理解することは、iDeCoを含めた資産形成全体を考えるうえで重要な第一歩です。しかし、元本保証の有無だけでなく、自分のライフプランとリスク許容度を踏まえた総合的な設計が、本当に堅実な資産形成につながります。
下記ページでは、こうした長期的な目線で資産形成を捉えるための考え方や、将来の資産推移を客観的に把握するためのシミュレーション解説も整理しています。最適な計画をより深く理解したい方は、あわせてご覧ください。
