―「節税だから得」という思考が、あなたにとって危険な理由―
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、
「節税になる」「老後資金づくりに必須」とよく言われます。
しかし実際には、
iDeCoをやらない方が合理的な人も確実に存在します。
制度自体は優れていますが、
すべての人に最適な制度ではありません。
本記事では、FP視点で
「iDeCoをやらない方がいい人の特徴」を7つ整理します。
これはiDeCoを否定する記事ではなく、
自分に合わない制度を無理に使わないための記事です。
特徴① 生活防衛資金がまだ十分にない人
最も重要で、最も見落とされがちなポイントです。
iDeCoは原則60歳まで引き出せません。

つまり、途中で現金化できない資金です。
にもかかわらず、
- 貯金がほとんどない
- 失業・病気・収入減への備えが弱い
- クレジットカードやローン残高が多い
この状態でiDeCoを始めるのは、
資金設計として順番が逆です。
まず優先すべきは、
- 生活費6か月分程度の現金
- いつでも使える預金
iDeCoは「余剰資金」でやる制度です。
守りが固まっていない人には向きません。
特徴② 近い将来、大きなお金を使う予定がある人
以下に当てはまる人も注意が必要です。
- 住宅購入の頭金を貯めている
- 子どもの教育費が10年以内に必要
- 独立・開業を考えている
iDeCoに入れたお金は、
これらの目的には一切使えません。
「節税になるから」とiDeCoに資金を回した結果、
本来必要なタイミングでお金が足りず、
ローンや取り崩しで対応することになっては本末転倒です。
特徴③ 収入が不安定で、掛金を続けられない可能性が高い人
iDeCoは途中で掛金を減額・停止することはできます。
しかし、心理的なハードルは意外と高いものです。
- フリーランスで収入の波が大きい
- 歩合制・業績連動型の収入
- 近い将来、働き方が変わる可能性が高い
このような人は、
「固定で積み立てる制度」そのものが
ストレスになる可能性があります。
制度として可能かどうかと、
自分が精神的に耐えられるかどうかは別問題です。
特徴④ 節税メリットがほとんど出ない年収帯の人
iDeCoの最大の魅力は
掛金が全額所得控除になることです。
しかし、もともとの税率が低い場合、
節税効果は限定的になります。
- 所得税・住民税がほぼかかっていない
- 配偶者控除・扶養控除で課税所得が小さい
この場合、
「節税」という最大のメリットを
十分に活かせません。
それなら、
流動性の高い制度や貯蓄を優先する方が
合理的なケースも多いのです。
特徴⑤ 60歳より前に資産を使う可能性が高い人
iDeCoは、
老後資金“専用”の制度です。
もしあなたが、
- セミリタイアを考えている
- 50代で働き方を変えたい
- 早期に資産を取り崩す想定がある
このようなライフプランを描いているなら、
iDeCoは資金の柔軟性を奪う要因になります。
「老後のために貯めたお金が、
一番使いたいタイミングで使えない」
これは大きなデメリットになり得ます。
特徴⑥ 投資リスクを過剰に恐れてしまう人
iDeCoでは、
元本確保型の商品も選べます。
しかし実際には、
- 利回りは極めて低い
- 手数料負けする可能性もある
そのため、
iDeCoはある程度の投資理解と覚悟が前提です。
価格変動に耐えられず、
短期的な評価額に一喜一憂してしまう人にとっては、
精神的な負担が大きくなる可能性があります。
特徴⑦ 「みんながやっているから」で判断している人
最後が、実は一番危険です。
- SNSでおすすめされていた
- YouTubeで必須と言われた
- 会社の同僚がやっている
これらは判断理由になりません。
iDeCoは、
「使いこなせる人にとっては強力」
「合わない人には重たい」
そんな制度です。
自分の収入、家族構成、将来設計を無視して
始める制度ではありません。
iDeCoをやらない判断は「失敗」ではない
iDeCoをやらないことは、
決して知識不足や怠慢ではありません。
- 生活防衛資金が足りない
- 資金の流動性が必要
- ライフプランに合わない
このような理由で見送るのは、
極めて合理的な判断です。
iDeCoは「やるか・やらないか」ではなく、
「今の自分に合っているか」で判断する制度。
そして、
やらないと決めることもまた、
立派な資産設計の一部です。
iDeCoが向いていない人の特徴を理解することは、無理なく続けられる資産形成を考えるうえで非常に重要です。ただし、制度の良し悪しだけでなく、自分のライフプラン全体を俯瞰して最適な選択をすることが本質になります。
下記ページでは、こうした長期的な資産形成や老後資金計画を総合的に考えるための視点や、将来の資産推移を客観的に捉えるためのシミュレーション解説も整理しています。自分に合った資産設計を深く理解したい方は、あわせてご覧ください。
